プロダクト誕生の裏話
― mind2D.aiをつくろうと思ったきっかけは?
株式会社グラブデザイン 代表取締役 梅原 卓也:
一言でいうと、「現場の困りごと」が出発点でした。
社内研修や製品マニュアル、営業資料など、企業には“伝えるためのスライド”が大量にあります。共感講座のアニメを活用して、オリジナルで教材を制作したいという企業も増えています。しかし、予算と時間が潤沢であることが前提です。
ただ、アニメ動画を制作しようとすると、どうしても高額な予算がかかってしまいます。
ナレーションを録音し、動画を編集して、最終的にはプロに依頼する必要がある。
もちろん、予算や時間に余裕があれば、「共感講座」のような高品質なアニメーションを制作することも可能です。実際、共感講座は非常に人気があり、その“伝わりやすさ”と“記憶に残る構成力”が高く評価されています。
ただ、そうしたクオリティを実現するには、それ相応の制作コストと工数がかかるのも事実です。
現場では、「予算がないので無理です」「作っている余裕がない(正直、面倒です)」と断られてしまうケースも少なくありません。
それならいっそ、「スライドをアップロードするだけで、AIが自動的にナビゲーター付きのアニメ動画に変換してくれたらどうだろう?」そう考えたことが、mind2D.aiの出発点になりました。
― なぜ“アニメ”という表現方法を選んだのですか?
梅原:
PowerPointの内容は、そのままだと印象に残りづらいんです。
実際、イラストやビジュアル、音声を取り入れた資料は、文字だけの資料と比べて「最大23倍も記憶に残る」という研究結果もあります。つまり、ただスライドを見せるだけでは伝わりにくい情報も、「アニメーション」や「ナビゲーター付き動画」といった“動き”や“ストーリー”を加えることで、理解度や記憶定着率が飛躍的に高まるのです。
そこで私たちが注目したのが、VTuberやYouTubeの解説系動画などで活用されている“2Dアバター”でした。
実は以前、AVITAさんやサントリーさんと一緒に「アバタースナック」という実証実験に参加したのですが、そこではリアルな声優さんの音声とアバターの動きが組み合わさり、まるで本当に接客されているような没入感のある体験が生まれていたんです。

この体験を通じて、「動き」と「ストーリー性」を加えるだけで、伝わり方が劇的に変わることを実感しました。
だからこそ、企業の教育や営業の現場にも、アニメの力を取り入れようと考えたんです。
開発初期は、まだ構想段階にすぎませんでした。
しかし、東京大学発のベンチャー企業「アウターク」のAIチームと出会ったことで、一気に流れが加速しました。
出会ってすぐにプロトタイプの開発をスタートし、わずか2週間で第一弾を完成。
そして4月末に東京ビッグサイトで開催された「EDIX(教育総合展)」に出展したところ、多くの来場者から高い評価をいただきました。
その反響を受けて、社内でも「これはいける!」という確かな手応えを得ることができ、本格的な開発へと一気に舵を切りました。
■ 技術面の深掘り
―「“PDF=動画の設計図”という発想がカギだった」
梅原:
東京大学のAIチームと共同で開発を進める中で、技術的に最も挑戦的だったのは、「スライドからどのようにアニメキャラクターを動かし、動画構成を自動で生成するか」という点でした。
PowerPointをPDF化することで構造的な情報を抽出し、ページ単位で話者(アバター)のアクション、音声、字幕を連動させる。この「動画の設計図」を自動生成するアルゴリズムこそが、mind2D.aiの中核を成す技術です。
さらに、以下のような技術を組み合わせて、全体の自動化を実現しています:
- 独自スクリプト生成エンジン:スライドの要素を自然言語に変換し、説明用の台詞として自動生成
- 音声合成エンジン:感情のこもったナレーションを自動生成(今後は多言語対応も視野に)
- キャラクターアニメーション同期:発話内容に応じて、キャラクターのジェスチャーや表情を自動で付与
- テンプレートシステム:用途(教育/プロモーション/営業)に応じて、最適な進行構成・デザインを自動選択
とりわけ難易度が高かったのは、“キャラクターの動きと台詞を自然に同期させる”という部分です。
これはVTuberの技術に近い領域であり、東大のAIチームとの緻密な連携によって、ようやく実現することができました。
■ 今後のAI進化ロードマップ
―「自動生成は、“目的の実現”のためにある」
梅原:
現在は「スライド → アニメ」という一連の自動化がメイン機能ですが、今後はユーザーの“意図”により寄り添ったコンテンツ生成を目指しています。
▸ ナレッジ連携
既存の社内マニュアルやFAQ、PDF資料などをアップロードするだけで、AIが内容を理解し、自動的にストーリー構成を設計して動画化できるようにします。
▸ LMS/SaaSとの連携
作成した動画をそのままeラーニング教材として活用できるよう、LMSや当社の学習プラットフォーム「FireRocket」とのAPI連携を進行中です。
今後は、クイズ機能・受講管理・学習ログとの統合なども予定しています。
▸ 多言語対応・ローカライズ
グローバル展開を見据え、日本語だけでなく英語や中国語などのスライドにも対応。
生成される動画も、それぞれの言語で吹き替え対応が可能になります。
▸ AIプレゼンターの進化
将来的には、AIプレゼンターがスライドを基に自律的に質疑応答を行ったり、感情豊かなスピーチが可能になるなど、“次世代のプレゼン体験”を提供できるよう進化を続けていきます。
■ 最後に、未来のmind2d.aiユーザーへ
梅原:
動画は、もはやプロフェッショナルだけのものではありません。
あなたが先生・講師となって伝えたい想い――
あなたのパソコンの奥深くに眠っているスライドにかかれた知恵――
それらを今すぐに掘り起こして動画にできる時代です。
社内の知見、教育の情熱を、もっと多くの人に届けられるよう、
mind2D.aiがその橋渡しをします。

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